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2004.09.01

スローキャリア を読んだ

「スローフード」「スローライフ」という考え方と同じように、上昇志向の強くない人のために自分の価値観でキャリアを形成していく「スローキャリア」を提唱しているのが本著です。

序章では、『ビジネスリーダーやアントレプレナーが人生の「勝ち組」というのは本当か』『すべての働く者が上昇志向を持っているわけではない』『若者のキャリアに関する四つの悩み』といった見出しで、現在の上昇志向中心のキャリア形成に疑問を投げかけます。
そして一般的に言われているキャリア形成に関する誤解を解き、どのような能力・価値観・行動特性がスローキャリアに結びつくのかを語っています。
さらに、経営側の立場からスローキャリア人材を活かすための話にまで発展します。

読み終わっての感想は「で、具体的に何をすればいいの?」。

いろいろな角度からスローキャリアについて語っているのですが、表面的な部分だけで話が終わっており具体的なイメージが湧いてきません。

おそらくこの本を手に取るのは、上昇志向が強くないのに上昇志向が強くなければ成功しない環境にいる人だと思います。上昇志向が強くなければ成功しない環境にいる人にとって、この本に書かれていることはすでに十分理解できている事だと思います。
そういった人たちにとって求めているのはその先であって、この本に書いてようなこと(人生やキャリアの棚卸)は何度もやっていると思います。
逆に上昇志向が強くなくてもいい環境にいる人が読んだら、内容や用語が難しいのではないかと思う部分がありました。

つまり一言でいってしまえば、読者のニーズを満たしていない。

上昇志向が強くなくてもいい環境にいた人は、知らない世界(上昇志向の成功者=人生の勝ち組)があってもそれはそれで幸せ、でも知らない世界を知ってしまった上昇志向の強くない人は、そこから抜け出すことができない。そこから抜け出す参考になるかといえば、現実を再確認するだけでそれ以上進めない。

また、フリーターを否定し何でもいいので定職に就いた方がキャリアの土台ができると論じているにもかかわらず、別の場所ではアルバイトも立派なキャリアになると言っています。
おそらく短期間で職を変えるのではなくアルバイトでも長期間同じ仕事をした方がキャリア形成につながると言いたいのだと思いますが、現状のフリーター事情を知らない発言ともとれます。

さらに、副題として「上昇志向が強くない人のための生き方論」としているにもかかわらず、経営側の立場からスローキャリア人材の活用をする話をしている部分もあり、しかも「活用しなくてならない」といった口調で語っている点が気になりました。

著者は、本書の中で自分自身を語るとき必ず当時の肩書きを付け加えて話をしています。
そこから受ける印象は、自らスローキャリアを選び幸せなキャリアを築けたというものではなく、「スローキャリアを選ばなくてはいけない人は、それなりに頑張らなければいけませんよ」と、一段上から見下ろすような感じです。

採用する立場にいる私としては参考になる部分がありましたが、果たしてスローキャリアを望む人は参考になるでしょうか。

上昇志向が強くないのに上昇志向が強くなければ成功しない環境にいる人は読まない方がいいかもしれません。
ただ、そういう環境にいてこの本に納得するのであればその人は上昇志向が強い人だと思います。もしくは上昇志向が強くなければ成功しない環境ではありません。
(2004/08/30読了)

スローキャリア
スローキャリア
高橋 俊介
価格:¥ 1,365(定価:¥ 1,365)
単行本
出版社: PHP研究所 ; ISBN: 4569635741 ; (2004/07/24)

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コメント

私も本を読んだものです。
反論があります。筆者の経歴について「自らスローキャリアを選び
幸せなキャリアを築けたというものではなく・・・」と述べられていますが、
その経歴こそ筆者のいうスローキャリアを体現しているのでは。
国鉄に入って当初興味の無かった人事関係に興味をもち
転職、コンサルタント会社の経営者となるという経歴です。
これは本書でのべられている「最初から計画してではなく偶然性や自分の興味を
重視してのキャリアつくり」です。また経営者になってもスローキャリア派の
ための会社つくりを行い実績をあげたと書かれています。
筆者自身幸せなスローキャリアを継続してきたと私は
読み取ったのですが、いかがでしょうか?

投稿: tutida | 2004.10.02 21:18

tutidaさん、コメントありがとうございます。

tutidaさんのコメントについては、まさしくその通りだと思います。
筆者自身が自ら定義した「スローキャリア」というものを体現していると思います。

ここで確認しておきたいのは、私は作者自身を否定していないということです。
本1冊読んだくらいでその人を評価しようと思いません。
今回はあくまでも私が“この本”を読んだ感想について書いています。

筆者がどんなに体現していようとも、それだけでは自己完結をしているだけです。
本を出版しているのであれば、読み手に何らかの影響(情報)を与える必要があると思います。平たく言えば、参考にならない自慢話は聞きたくないということです。

残念ながら私には、自慢のための自慢話に聞こえてしまいました。
筆者は、私企業に勝ち組・負け組はあっても、人(個人)に勝ち組・負け組はないと書いています。
しかし私には、筆者がスローキャリアを実践しているが、結局は勝ち組という枠の中にいるという印象を持ってしまいました。

今回の私の感想を一言でいえば「スローキャリアを実践したい人にとっては情報が乏しい」と言うことです。

まえがきや序章・第1章あたりまでは、現状の再認識という意味で得られる情報はありますが、章が進んでも話が広がったり深くなったりしない印象を持ちました。

また、一番とまどうのが第4章で行動特性を語ったあと、次の第5章で管理側の立場でスローキャリア人材をどう扱うか語っている点です。
行動特性を語ったのであれば、次の章ではそれを具体的に行動に移すための方法を示すのが流れだと思うのですが、いきなり逆の立場の話をされてもととまどうだけです。

私は人材系のベンチャー企業に所属しており、さらに採用を担当しているので“キャリア”について多少は詳しいつもりです。
その立場からいうとこの本は理論でしかありません。机上の空論とは言いませんが、かなり上層の理論について述べており実際にスローキャリアを目指したいと思う人との距離があるように感じます。読者が求めているの理論ではなく実践だと思いますので。

「スローキャリア - 実践編」といったようなものが出版されれば、そちらの方が私の求めていた本なのかもしれませんね。


もう一つ、評価が低くなったポイントがあります。
それは、宣伝・PRのための本ではないかという印象をもってしまったからです。

企業や自分の宣伝・PRのために、関連分野の本を出版することがよくあります。たいがいそういった本は、内容が薄く、一般的なことしか書いておらず、タイトルはキャッチーで話題性があります。
この本の場合、本文で筆者の肩書きが何度となく出てきたり、コンサルティングや講演を行っている点などでそう思ってしまいました。まぁ肩書きが多く出てくるのは、雑誌の連載をまとめた本だから仕方ないという思いもありますが。


実は、同じ筆者の「30歳からの幸せになるキャリアの見つけ方」かんき出版(ISBN: 4761260920)という本を去年の末に読んでいました。
同じ筆者だということは、このコメントを書くときに気がつきました。

「30歳からの~」は共著で、「キャリア」に対する考え方や身につけるべき能力について語っています。
その後もう一人の筆者がツールを提供し、読者自身が価値観や指向性を自己判断出来るようにしています。


・・・とまぁ、コメントを書いたわけですが、言葉(文字)にするために、断定的なものの言い方になっています。
強い口調に感じますが実際のところ、(本に関して)強い否定をしているわけではありませんし、するつもりもありません。まぁ、身銭切って本を読んでいるので、その金額分ぐらいの情報は得たいですし、金額分くらいの感想・意見は言いたいと思っています。
いろいろな意見や受け取り方があるよね、といった程度の感じで受け取ってもらえればと思います。

投稿: すきま | 2004.10.04 15:01

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タイトル:スローキャリア 著者:高橋 俊介 出版社:PHP研究所 スローキャリア [続きを読む]

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